父親もおじも鳶職人でしたが、始めは特に興味があったわけではありません。中学を卒業して上京した際に、親戚から「ひとまず 鳶をやってみたら」と勧められ、素直に勤め始めました。最初は体力がなくて重い物が運べず、きつい時もありました。また危険とは知らずに余計な手を出して、親方に思いきり叱られたこともありました。でも、辞めたいとは思いませんでしたね。空の下で働くのは気持ちがいいし、足場は形が残らなくても自分たちが現場を支えているという誇りがありますから。
現場には1班4〜5人で入ります。足場図面は一応ありますが、建物の形や足場を使う職人さんたちと相談して組み方を考えます。変形した建物は難しいですが、工事責任者に「できますか」と言われると、鳶職人としては燃えますね。ここができるのは自分だけみたいな気持ちで、引き受けています。ひと通り仕事ができるようになるには、だいたい3年。そこまで働くと、皆いい顔になっています。職人としての自信が顔に出るんでしょうね。
鳶職人というと、粗っぽいイメージがあるかもしれません。自分たちの先輩には、たしかにそんなところがありました。でも、今は人材育成を意識していますし、妙な上下関係はありません。会社は資格取得を支援してくれます。働きやすい環境だと思います。若い人には、鳶という仕事の魅力をもっと知ってもらいたいと思います。個人的な目標はこの会社を大きくすることです。班をいっぱい作って、できることなら支店を作りたいです。